復讐シリーズ②
シリーズの中で一番好き。むちゃくちゃ面白い！緊迫感と突然の緩和、多分に物語り続けるショットの魅力などわずか80分で3時間くらいの濃密なドラマを見たかのような満足感のある傑作。
登場人物の行く末をそれぞれワンショットだけで表現してしまったエンディングがヤバい。映画なんだから台詞で説明するなんて野暮だよ、ってのはよくあるけど映像ですらこんなにも潔く削ぎ落としてしまうとはカッコいい。物語から切り離して見れば何てことのないカットであるのに、キャラクターの背景や思考が溢れんばかりに滲み出てくる。鮮やかで強烈。どの瞬間も忘れられない。
吉岡組の組長めっちゃいい。菅田俊という役者なのか、声から顔から演技から素晴らしすぎる存在感。拗らせキャラっぷりが最高すぎ。ベラベラ喋りまくる吉岡組長の存在だけで傑作と言いたくなるくらい好き。
木に石投げてる長回し、長回ししすぎて役者の地が出たんじゃ、と思っちゃう長さが良い。
"普通"の話であればこうなるよなと予測してソワソワさせるキャラクターの配置を逆手に取ったようなドラマが良い。描かれていないのに勝手にこちらが想像して裏切られるショックが面白さに直結しているというか、それを象徴するかのような少女の存在感、公園での採寸もそうだが喫茶店でのロングショットも良いし、常に人と距離を置き続ける哀川翔のキャラ造形のためだけでない存在感が良い。
ドライブのくだりや出待ちする吉岡などもそうだが、全体的に"話の筋"にはなくても良いし言葉一つで説明足り得るようなところを長々と映していて、ストーリーテリングに於いては無意味なようなことに重点を置き、説明すべきところは伝わらなくてもいいってくらい不親切で、そういう一種アンチ的な尖り方が作品の魅力になっている。面白いし好きなんだが、これがダメだという理由もわかる感じ。個人的にはよくぞ作ってくれたと嬉しくなった傑作。
