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トップガンのBGのレビュー・感想・評価

トップガン(1986年製作の映画)
4.1
朝焼けの洋上艦。沁みるサウンドの中、静かに離陸体勢に入るF14トムキャット。GOサインを出すカタパルトオフィサー。エンジンに火が入り…。加速! 鳴り響くDANGER ZONE!! ヤベェ!超かっけえ!上がるっ!
トム・クルーズをスターダムに押し上げたスカイアクションの金字塔。ハイスピードなドッグファイトは手に汗握り、男達の友情に胸を熱くする傑作だ。

公開は1986年。アメリカは不景気にもがき、レーガノミクスによる軍需拡大路線後のマッチョイズム全盛期。戦意高揚とも取られかねないタイミングでの公開かも知れない。だか、違うんだ!と声を大にして言いたい。本作は決してそんな作品ではない。一人の男の成長物語なのだから。

主人公はトム演じるマーベリック。彼は親友のグースと共に、アクシデントにより辞退したパイロットの代わりに繰り上げでトップガンに配属される。このトップガンはトップ中のトップのみが選ばれる、まさに超エリート訓練校だ。マーベリックは恐れを知らない天才的な操縦テクニックで直ぐに一目を置かれる存在に。一方でその溢れる自信から無謀な飛行も多く、トラブルも絶えない。おまけに女性教官も口説き落とし、飛ぶ鳥を落とす勢い。そんな折、ライバルのアイスマンと激しいトップ争いをする中で事件は起きるのだった…。

まず、ため息が出るほどの映像の美しさ。そして対照的に迫力満点なエアバトル!音楽の使い方に時代を感じるが、空、海、戦闘機をこれでもかって言うくらい格好良く魅せてくれる!痺れる…。
そして、若きトムの豊かな表情と力強い目。既にザ・スターの貫禄だ。何気にヴァル・キルマーもチャーミング。おまけにメグ・ライアンまで脇役だが出てくる始末。たまんねーな、おい!

さて、エリート中のエリートであるマーベリックにも挫折が訪れる。自信により可能にしていた無謀な操縦は鳴りを潜め、恐怖すら感じるようになってしまう。そもそも、なぜ彼はそんな無謀な操縦をするようになったのか。それは、同じパイロットであった亡き父への想いからだった。父親の不名誉な噂を払拭し、まるで亡き父親から認められたい少年のようにマーベリックは飛んでいたのだ。
クライマックスにおいて、父親の死を受け入れ、ある辛い出来事も乗り越えて、マーベリックは大人になる。自ら飛ぶことを選ぶ。自分の判断で為すべきことをするのがパイロットなのだから!そして、貴方はきっと見つけることができるはず。独り善がりの飛行を捨て、仲間のために大空を駆ける真のトップガンの姿を。

いや全く、こんなに格好良くて、熱い人間ドラマを描ける監督もいるんだなあ。いったい、誰だろう。ハッ! 兄リドリー・スコットにも負けない才を持つトニー・スコットじゃないか!ビックリした!

これまで、タランティーノと組んだ傑作2本、誰もが楽しめる普通の男がヒーローになる晩年のエンタメ3本をレビューしてきました。今回からは、初期の名作3本をレビューしますよ。その1本目がこのトップガンって訳。まだまだ続きます!

さてさて、締めのご挨拶。
こんな美しい映像と熱いドラマが詰まった映画を生み出すトニー・スコット、間違いなく最高な監督の一人だ。ありがとう、トニー!最高に燃える110分だったぜ。俺はあんたが大好きだ!
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