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アクアマンのBGのレビュー・感想・評価

アクアマン(2018年製作の映画)
3.6
今更ながらアクアマン。ジェームズ・ワンの魅せる映像はやはり天才のそれであるとハッキリ分かるんだよね。主人公のアクアマンことアーサーも、脳筋ワイルドでありながら、ときおり見せるおとぼけ具合がチャーミングで非常に好ましい。

ほんで、これでもかってくらいのCGでありえんハイテンションな映像を楽しませてくれる作品ではあるのだけれども、今時それだけでは傑作の域には届かない。俺の魂には響かない。

ではなにが足りないのかって話だけど、それはやはりストーリーのパッションである。ぶち上がるBGMで良い意味でのナンジャコリャって映像を見せられても、映画である以上は物語性によるビッグウェーブが巻き起こらないと、なんつーか乗り切れないんすわ。

とっても魅力的な主人公ではあるけれど、トライデントはマクガフィンであって、これを手にする過程で得る「主人公力」によって勝利を得るべきだ。誤解を恐れずにぶっちゃけるなら、アーサーは王という血の力で闘うのであって、それ以上でもそれ以下でもない。彼の言葉を借りるなら、神が王を決めるのだそうだ。

それってさ、つまんなくない?

半海底人、半地上人であるアーサー。本人はそれをあまり気に病んでる風でもない。それはいい。別に苦悩するだけが主人公ではない。
むしろ気の良いヤツだってのは分かる。そんな生まれだからこそ、一方に肩入れせずに、海底と地上を2つの世界ではなく1つの世界と考えることができる、架け橋になれる。ここまではいい。

それなのに。結局のところ、物語の中で彼が英雄になったのは、その身体に流れる血のおかげであり、彼の人間性や努力、苦難を乗り越えてきた経験によるものではないのだ。

思い返せば話の展開もサクサクで、ロケ地巡りするだけみたいなもんで、主人公としての成長など一切ない。なんなら、作中冒頭でメラに素直に従っていれば、トライデントを手にすることだってできたはずである。そして、真の王にもなれたはずである。特に苦労もせず。海の連中も従うでしょ。なぜならアイツら力こそパワー信者だし、最強で伝説の真の王の証を手にしてるから。そーゆー血筋の生まれだから。

結局、目の前には荒ぶる大波がほとばしるのだけれども、お話としてはサラサラと小波が足元をくるぶしくらいまで湿らすだけなのだ。

とまあ、散々にケチをつけた訳ですけれども、そんな事を考えなければ、メチャクチャおもろい。海中アクションやシームレスに変化していく視点とかもうね、超楽しい!少々コテコテの演出ではあるけども、なんだかんだ嫌いになれない作品でしたとさ。おしまい。
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