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スパイダーマン:ノー・ウェイ・ホームのBGのネタバレレビュー・内容・結末

3.9

このレビューはネタバレを含みます

正直、MCU版スパイダーマンにそこまで入れ込んでなかった私ですが、本作におけるトムホピーターはやっと主人公になったなぁと。いや、ヒーローになったと言えるのかな。やっとトムホスパイディが好きになれました。

魔法やマルチバースとか持ち出すから仕方ないのだけど、かなり強引なストーリー展開だし、ファーフロムホームでお前は何を学んだんだとツッコミたくなる始まりではあるけれど、特に2つのシーンによってグッと深みが増したと感じやした。

1つ目は、ジョンファブロー演じるハッピーが美魔女マリサトメイによるメイおばさんの最期に悲嘆するシーン。この時の一瞬の表情よ。
トムホも素晴らしいのだけど、その悲しみはあくまで家族を失う主人公の主観である。ハッピーが駆け付け、遠目から全てを察したあの瞬間が挿入されることで、物語の転調がより一層強調され、ピーターの絶対的な守護者がいなくなることが明示されたと言っていい。つまり、この瞬間が「ノーウェイホーム」の始まりであり、ピーターが強制的に「大人」になるための第一歩なのである。
この最重要シーンを繊細な表情で演じ切ったジョンファブローは最高の役者だと断言する。

そして2つ目。アンドリューガーフィールドがMJを救うシーンである。もう泣いた。マジで。こーゆーの本当に弱い。あの今にも泣き出しそうな表情よ。良い役者になったなぁ。
自分の世界で救えなかったMJを、今度こそ捕まえることができた…。しかも、これは自己の為ではなく他者の為の正義であり、アンドリューピーターにとってヒロイズムの復活と言っても過言ではない。
もちろん、パート2で打ち切りとなったアメイジングスパイダーマンをも救い上げたとも取れるシーンである。
そしてこのシーンは、もちろんそれだけでなく、感動を僕らに与えつつも、本作におけるヒロイズム、つまり利他的な正義を、隣人としてのスパイダーマンの有り様を示したと言える。もちろん、その後のトビーピーターもこれに続き、過去の精算としてウィレムデフォーが怪演するオズボーンことグリーンゴブリンを今度こそ救うことも同様だ。この一連の流れは、マジで最高。

こうして、トムホピーターは本当の意味でスパイダーマンとなり、特定の誰かの友人や家族でなく、全ての人々の隣人となる決断を下すことになる。
自分やヒーロー達が持つ強大な力は、社会の為に使うものであり、同時に愛する者を無造作に巻き込み傷付けることを知ってしまったピーター。
MJの額の傷跡を見た時、もう温かい家族がいるホームへの帰り道が閉ざされていることを知るのだ。

あくまで、ファンムービーの位置付けであり、過去のスパイダーマン全7作に加え、ドクターストレンジ、更にはインフィニティウォー/エンドゲームを含めたアベンジャーズまでもが必修であり、お祭り映画としてはめちゃくちゃハードルが高いのだが、スパイダーマンと言うヒーローの集大成として捉えれば、とんでもなく難しい作品をようここまでまとめたなと、ジョンワッツの手腕に舌を巻きまくるのでした。すげえわ。感服。
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