とがり

新幹線大爆破のとがりのレビュー・感想・評価

新幹線大爆破(1975年製作の映画)
4.5
東京発博多行ひかり109号に爆弾が仕掛けられた!
新幹線の安全神話を逆手に取ったかのような「時速80km以下になると爆発する爆弾」から乗客の命を守るべく奔走する運転士と指令室。
乗客の命と引き換えに要求された500万ドルの受け渡しを巡る犯人と警察の攻防。
2つの物語を展開させながら緊張感を失うことなく疾走する脚本と、東映オールスターキャストたちの演技が素晴らしい傑作クライムサスペンス。

高倉健たちが演じる犯人側のドラマがかなり丁寧に描かれ、"見捨てられた者たち"の国家への復讐劇としても良くできている。
会社も家族も失った果ての決意と覚悟。
用意周到、完璧と思えた計画も、少しの偶然で1人また1人と仲間を失っていき、それでも男は目的を果たそうとする。

一方パニック担当の国鉄側のドラマも熱い。
個人的ベスト男優賞は指令室長を演じた宇津井健。
彼に迫られる非情な決断と、合理では割り切れない組織の力学。真っ当な人間であるからこそ不条理を飲み込まざるをえないのだ。

展開にやや雑と感じるところもあるが、それ以上にやりきった熱量が伝わる邦画の傑作。
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