ザリくん

崖の上のポニョのザリくんのレビュー・感想・評価

崖の上のポニョ(2008年製作の映画)
3.9
パヤオの描く5歳のセカイ系。

とんでもなく恐ろしい事象が起こっているはずなのにジブリ的かわいいとファンタジーのスペクタクルで圧殺される感覚。
絵本のようだが怖いという感情が深く付き纏う…という意味でグリム童話みたい。

ジブリ飯以外もぷるぷるしていて万物に命が宿っているようだった。線が有機的。常軌を逸してぐにゃんぐにゃん動くアニメーション。それがキュートにもなりホラーにもなる。

天真爛漫・天衣無縫のポニョに海も町も視聴者も振り回された楽しい映画でした。子供も老人もかわいい。
小学校ぶりに見たけどそこまで気になる箇所は無いような。リサの(海の女王と対等に話すほどの)破壊的な器の大きさを考えればあの運転等も何てことなく見えてくる。

ディザスターが落ち着いたあと未解決のまま突然黒抜きで終幕して無垢な超かわいい主題歌流れ始めるのはパヤオの優しさなのか意地悪なのか。ハピエン人魚姫を作りたいとインタビューで語っていたから優しさと信じたい。同じ志で作られたDisneyのリトルマーメイドはあんなにスッキリしているのにパヤオは何故こんなにダークになるのか…

ジブリ女性像は強くて美しく素敵なのだけど、グランマンマーレは行き過ぎて恐怖しかない。サリマン先生も怖かったがスケールが違う。本「続 風の帰る場所」記述では(本体があるかは言及されてないが)あれは差し渡し1kmのチョウチンアンコウだそう。ジブリ戦闘力ランキング海の部1位。山はシシガミ。空はラピュタ。特別枠巨神兵(故)。
同じような海の底知れぬ深淵を覗かせる作品として海獣の子供も好きなのでこちらもオススメ。
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