エンポリオ

最強のふたりのエンポリオのネタバレレビュー・内容・結末

最強のふたり(2011年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

実話を基にした素敵なフランス映画。
映画という枠の中においてこの作品は何か特別な表現が施されているわけでも、想像を絶するような展開が待っているわけでもなく、一つの映画作品としてはとても平坦な作品といった印象を受ける。しかし、こんな素敵なお話が現実の世界で起きたということがこの映画が一つの素晴らしい作品であり、様々な賞を受賞しているという理由なのではないかと感じた。
大富豪でありながら事故によって身体の自由を失ったフィリップは一見対極に属する人間のように思えるドリスと生活を共にするようになる。二人は目に見えない何かを互いに与え合い、貰い合って生きていく。
私はこの二人のやりとりや、フィリップとドリスそれぞれのストーリーから自分自身に還元できるものを見つけることは出来なかったし、感じたことを率直に述べてしまえば、この作品からはその類のメッセージ性は感じられなかった。メッセージ性が薄いというわけでは決してなく、ただ単にそういう映画ではなかったように素直に感じた。私が観たのは二人の人間とその周辺の人々のお話であり、作中の言葉を借りればこれは二人が残した足跡なのではないかと思った。
この映画のノンフィクション性をうまく表現した俳優陣、特段主演二人の演技には心を奪われた。
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