ダンクシー

HANA-BIのダンクシーのレビュー・感想・評価

HANA-BI(1997年製作の映画)
4.1
「今度会ったら殺すって言ったろ。」

刑事の西と妻の人生最期の旅。西は多くを語らない。想いは、語らずとも堀部たちが銃撃されたことを記憶で振り返ったり映像によって表現される。

娘を亡くし妻は不治の病に冒され仲間は銃撃され誰よりも辛いのに義理堅く優しい孤独な西と、命を取りとめるも下半身が不自由になり家族に逃げられ生への渇望を失いつつも絵を描いて生きようとした堀部。この二人の物語が交互に挟まれていく。

アーティスティックな映画だった。点描なのは花火の粒粒と掛けているのだろうか。花に関する絵が多く、話の展開と重なるような作品も出てくる。

静と動。バイオレンス描写での静寂さ。響き渡る銃声音。この一際変わった余韻が、毎度印象に強く残る。暴力的な映画なのに、優しさや温もりに包まれている。タクシーをパトカーにして、銀行強盗をする。それも、愛する妻のため。

銃声音と花火の音。これらは似たような音だが、命の灯火を消す前者と輝いて美しく世界を照らす後者で対比構造のようになっており重大な2つの要素で共通点と相違点が存在している。

美しいストーリーと、爆発的なラスト。まさに"花火"。打ち上げられたら美しいが、散り際は儚く地味なもの。
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