Yutaka

ミツバチのささやきのYutakaのネタバレレビュー・内容・結末

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
3.7

このレビューはネタバレを含みます

観る環境や精神状態にも左右されるような作品だと思った。内省モードで感受性ビンビンの時に映画館とかで観たらもっと沁みると思う。フランコ独裁政権を暗に批判する作品で、検閲を突破する為にメタファーだらけになっているのはキアロスタミらイランの作家などにも通じるものを感じた。分かりやすい所で言うと、アナの家の窓がミツバチの巣のような格子状になっていて、父親は死ぬ事も出来ずに囚われるミツバチの生態を批判するが、本人たちも独裁政権下で囚われてしまっているという皮肉。
アナが現実と虚構の区別がままならない儚いイノセントな存在であるなら、姉のイサベルはイノセントな加害性を持ち合わせた存在。猫の首を絞めたり、死んだフリをして驚かしたり、自分の血で口紅を描いたり、火遊びしたり。暴力の空気が蔓延する村に何となく居心地の悪さを覚えるアナは、フランケンシュタインの怪物にシンパシーを感じて思いを馳せるようになったのだろう。
今度はエモーショナルな時にじっくり見返したいと思う。そしたら、評価もめちゃくちゃ上がると思う。
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