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ミツバチのささやきのabokadoのレビュー・感想・評価

ミツバチのささやき(1973年製作の映画)
4.5
目を見張るとはこういうことを言うんだな。

子供の純粋さや子供ながらに抱える混沌を全てのシーンに意味を持たせていると感じた。
アナとイサベル2人の姉妹、アナはイサベルの悪意の無い嘘を信じ込んでしまう。フランケンシュタインは村の外れに住んでいてそれの正体は精霊で目を瞑って心で呼びかければ会えると。
アナは純粋な子供で居たい、むしろ子供で居続けて居たいのかも。ちょっとも大人の道に入りたくないんだ。イサベルは子供ながらして大人の女性に憧れている。猫に噛まれた指から出る血を唇に塗るあたりが強くそれを感じさせた。アナとイサベルの対比を描きつつスペイン内戦後を背景に物語は進む。
そこに純粋さがゆえに起こる現実と空想の入り混じったアナの目線が強く訴えかけてくる。この子の目力の強さというか演技というかが凄くて引き込まれて行く。

3人で毒キノコを探しながら父親の行動を黙って見守るアナ、逃亡兵に林檎を差し出すアナ、フランケンシュタインを観るアナ。もうどれも脳裏から離れないほどの目!!
ラストの精霊に呼びかけるシーンはなんだか切なくそして美しさを感じた。子供の純粋さは時に残酷だ、真実を知った時きっと打ちのめされるに違いない。と同時に自分が子供の頃にあった想いが思い出される。

これはちょっとある意味衝撃を受けました。時間がたったらまた見てみよう
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