櫻イミト

女ともだちの櫻イミトのレビュー・感想・評価

女ともだち(1956年製作の映画)
3.0
アントニオーニ監督の長編4本目で、初の映画祭受賞作。日本ではATG配給で1964年公開。原作はチェーザレ・バゼーレ(睡眠薬自殺を遂げていてイタリアの太宰治と呼ばれる)の「孤独な女たちの中で」。

1953年、ローマの洋装店からトリノ支店を開くために派遣されたクレリアは、宿泊したホテルで隣室の自殺未遂に遭遇する。自殺を図ったロゼッタは画家のモデルをしていて、この事件をきっかけにクレリアは画家周辺の社交界の女性たちと友達つきあいをするようになるが。。。

当時イタリアのエグゼクティブな女性たちの生きざまと恋愛模様を描く女性映画。導入部から登場人物が多いので不安になるが、中盤に入る頃にはつかめてくる。後のアントニオーニ監督の実存主義的なテーマはなくポピュラーな方向性の映画だった。しかし女性中心のトレンディドラマとしては先駆け的な一本ではないか。特に前半の浜辺のシーンが当時のトレンディを感じさせて印象的。戦後10年ほどからイタリアはオシャレだったのだなとファッション映画として楽しめた。アントニオーニ監督作としては次作「さすらい」(1957)で独自の世界をスタートさせる前の恋愛リアリズモな一本。
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