Wacky55

善き人のためのソナタのWacky55のレビュー・感想・評価

善き人のためのソナタ(2006年製作の映画)
4.2
第79回アカデミー賞外国映画賞受賞作品を初視聴!

国家保安省(シュタージ)の役人であるヴィースラーは、反逆者に対して一切手加減なしに尋問で追い詰める、冷徹で優秀な局員。しかしながらとある一件、反体制派の疑いがある劇作家のドライマンとその彼女である舞台女優クリスタを監視することになったヴィースラー。黙々と任務を務めるヴィースラーであったが、監視していくうちに人恋しさを感じ始めるようになり、次第にドライマン達を守ろうという意識へと変わっていく...

良かった所は主に2つ
まず1つ目は、Motivated Lighting と Low-key Lightingによる描写。影がこの物語のシリアス、ミステリアス、そして悲壮感な雰囲気をうまく表現しており、視聴者を惹きつけるほど非常に美しく綺麗な描写だったと思う

もう一つは、冷酷であり淡々とした性格からドライマンとクリスタを監視するうちに、心が徐々に揺さぶれ始めていくヴィースラーを見事に演じたウルリッヒ・ミューエの演技力だろう。細かい目、口、首の動きや声が徐々に震え始めたり、声のトーンが高くなったりと、ヴィースラーが明らかに動揺し始めているというのを分かりやすく、そして緊迫感を視聴者に与えたミューエの演技は非常に素晴らしかった。

物語の評価:
クリスタの悲しい結末と物語終盤でのヴィースラーの哀愁漂う背中は、心が締め付けられるほどとても悲しかった。しかし最後の場面は、ヴィースラーとドライマン、何か2人の強い絆が結ばれているような描き方に僕は感じた (劇中で2人が直接的に会話している場面がないにも関わらず)。とても良かったと思います!
Wacky55

Wacky55