ククレ

日の名残りのククレのレビュー・感想・評価

日の名残り(1993年製作の映画)
3.8
大学生の頃にこの作品を観て、なんとも言えない深みを感じた。原作を読み、カズオ・イシグロを知ったのもこの映画がきっかけ。
「生きる(Living)」を観たあと、また観たくなってレンタルしてきた。

ダーリントン邸は、本当にため息が出るほど素晴らしい。美しい庭、家具や調度品、品格のある主人と執事…これぞ英国貴族。この世界観に浸るだけでも心地良い。階段の踊り場にある「従業員用出入り口」とか細かなところも面白いなぁ。

やっぱりアラフィフになって見直すと印象が変わるんやね。スティーブンの苦悩や悔恨が痛いほどよくわかる。父が亡くなっても、ミス・ケントンに迫られても、主人がナチスに傾倒しても、執事としての品格と矜持を忘れない。かっこいいけど不器用過ぎて切ないなぁ。学生の頃に観たときにはあまり共感できていなかったと思う。

ただ、アンソニー・ホプキンスは上手いけど少し年を取りすぎやな。メイキングのインタビューで本人も「オファーが来たときは父親役だと思った」って言うてはるし…。
あと十歳くらい若い俳優の方が原作のイメージに近いのかもしれないな、と感じた。
アンソニー・ホプキンスは名優だけど、どうしてもレクター博士を思い出してしまう…「執事たちの沈黙」…思わずダジャレ、すみません…。
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