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日の名残りのnozomiのレビュー・感想・評価

日の名残り(1993年製作の映画)
4.1

第二次世界対戦が終わって数年後の1956年、執事のスティーブンス(アンソニー・ホプキンス)は、新しい主人フェラルディの勧めにより、小旅行に行くことになる。

前の主人ダーリントン卿の死後、フェラルディがこの屋敷を買い取るまで、ダーリントン卿の親族は誰も屋敷を継ごうとはしなかった。

更に、屋敷のスタッフが次々と辞めていった為、深刻な人手不足の問題がある中、昔同じ屋敷内で女中長として働いていたミス・ケントン(エマ・トンプソン)からスティーブンスの元に手紙が届く。

彼女の手紙を読んだスティーブンスは、彼女がまた仕事に戻ってくれることを期待し、今やベン夫人となったミス・ケントンが家族と住まう街を旅の行き先とし、訪ねることにする。

「モーリス」「眺めのいい部屋」などの作品を手掛け、「君の名前で僕を呼んで」の脚本にも携わったジェームズ・アイヴォリー監督による、ある老執事が自身の半生を回想していくストーリー。原作はカズオ・イシグロによる同名小説。

執事である主人公のスティーブンスが、自分の半生を回想しつつ、新しい主人に頂いた休暇を使い、かつて同僚だったある女性に会いに行くという、2つの時間軸で描かれていく。

主人公スティーブンスを演じたアンソニー・ホプキンスと、ミス・ケントンを演じたエマ・トンプソンの演技が本当に素晴らしかったです。二人の演技に魅入ってしまいました…。

回想からは、スティーブンスの主人への敬愛の気持ちや、失ったものに対しての後悔の念、けれども原題“the Remains of the Day”=“日が暮れる前のひと時、1日で最も素晴らしい時間”から、“二人にとって最も輝かしい時”であったことも感じられました。

観賞後は、切なさで胸が一杯になりました。

小説も読もうと思います。
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