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嵐を呼ぶ男の教授のレビュー・感想・評価

嵐を呼ぶ男(1957年製作の映画)
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結論としてはとても面白かった。
というかサクサク観ることができた。
ただ、批判ではないのだが、中身はまるでない。
いわゆる「アイドル映画」の系譜だろう。

古い日本映画が好きなのだが、昔から「日活映画」との相性が良くない。
「スター」の存在はむしろ大好きなのに、日活アクションのヒーローたちは、どうにも肌に合わない。その究極が石原裕次郎だ。
世代的には晩年の、お笑い芸人の「ゆうたろう」がネタにしているようなブランデーグラス片手の権威的な存在としてのイメージが強いのもあるかもしれない。

しかし、本作を観てみると、若くて荒削りなエネルギーの中に「かわいさ」が漲っているのがわかる。
時代的にも「ジェームス・ディーン」的な若者の屈折の体現として存在しているスターだったのは、作劇にも反映されている。

個人的には、そこまで「2枚目」には見えない風貌だが、長身でスタイルの良さと、無邪気な笑顔、ニヒルな粗暴さなどでいわゆる「女性本能をくすぐるような」魅力に溢れている、というのは本作を観て強く感じる。

いわゆる「音楽映画」的な魅力や、青春映画としては詰めの弱さ、緩さは顕著だが、その弱さや緩さがあるからこその、それを全て「スター性」で輝かせてしまうのが、その映画スターの魅力である。
その「アイドル映画」としては誠に純度の高い一作、という感じ。
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