松田

エクソシストの松田のレビュー・感想・評価

エクソシスト(1973年製作の映画)
3.9
なんて重い余韻なのだろう…
少女に取り憑いた悪魔による恐怖を描いたホラー映画なのは間違いないが、描かれているのはそれだけじゃない。

まずリアリティが凄い。
いきなり悪魔祓いというオカルト的な事をやる訳でなく、きちんとそれ以外の手を尽くした上でお手上げになっていく様がしっかり描かれている。
人間は科学だとか医学を超えた悪魔の所業にはとても敵わない。
物理的に説明がつかない事が目の前で起きてしまえば、邪悪な何かの仕業として宗教的な聖なるものに頼るしかないし、自分の手に負えない事なら、ある意味仕方ない事として覚悟せざるを得ない。

だが人生にはそんな事ばかりじゃない。
自分が出来なかった事をどうにか出来たはずだと忘れられずに後悔に苛まれ続ける事もある。
そんな消えない後悔と自責がこの映画には丁寧な織り込まれている。
こういった心理描写までもが心を蝕んでくる。

いまやホラー映画の古典となった恐怖と想像出来るけどしたくはないような悲しみが形作った傑作。
2022年の映画納めはこの作品だったけど年末にわざわざ見るもんじゃねえな…
松田

松田