バナバナ

裸の島のバナバナのレビュー・感想・評価

裸の島(1960年製作の映画)
4.0
殿山泰司さんが出ている作品を観たのは、20年ぶりくらいかな。
音羽信子さんもむっちゃ若い。

思ってたより大きい島だなと思ったら、これは本島で、4人だけの一家が暮らしているのは、そのまた離島。
本島も、畑は切り立った段々畑だったが、この家族が住む島には水が無く、夫婦は毎日本島まで船を繰り出して、水を汲みに行く。
そして、母親が小学2年生の長男を船で本島まで毎日送迎している。

この船というのが櫓で漕ぐ船だし、水汲みも天秤棒の桶で、
一々船で往復して本島に水を貰いに行き、孤島に帰ったら、道の無い急な坂を登って畑に持っていくのだ。
途中、ドラム缶でお風呂に入っているシーンがあったので、
お風呂や食事や生活用水の分は、島でも湧いてるのかと思ったら、
後でウィキを見ると、生活用水も本島から持ってきているという設定でした。

私はこの家族は、『砂の器』の様に村八分の家族なのかと思っていたら、
どうやらこの島は他人の持ち物で、地主さんに収穫物を納めていた。
農協に一旦納めるんじゃないのね。

よく考えたら、この作品は1960年に撮られているが、戦前の話なのか、1960年当時のつもりで撮っているのか、分からなくなった。
戦後はGHQが農地解放していた筈だけど、こんなに荒れた土地の収穫を、賃料だとしてもあんなにとるの?
それに、戦後の話だったら、わざわざ全く水の無いところに住むかな?
とも思ったが、こういう風に暮らしていた時代は確実にあったのだ。
それに、本島の段々畑だって、当時はまだ機械が無かっただろうから、
同じ様に天秤棒で水を運んでいたかもしれないしね。

ウィキを読んだら、ベニチオ・デル・トロがこの映画の大ファンで、
2011年にロケ地の宿禰島までわざわざ訪問したらしい。
渋い映画が好きなんだね。

P.S.尾道に上陸して鯛を売りに行くシーンがあり、子供が街角のテレビを見ていたのを思い出しました。
戦前ではなく、当時の話だったみたいですが、いつの時代の話か分からなくなるくらい、この一家の生活は過酷でした。
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