しろくま兄サキス

トゥモロー・ワールドのしろくま兄サキスのレビュー・感想・評価

トゥモロー・ワールド(2006年製作の映画)
4.1
【オールタイムベストSF映画レベル】
それにしてもヒドい邦題。原題はネタバレすぎるからこの邦題?

あー、これこの映画凄いのキタコレ。なんだこの長回し!?。まるでDVカメラで撮影してきた映像を未編集で観ているかのよう。もの凄い臨場感。心臓バクバクする。これがすべて周到に練られての撮影だというのがにわかには信じ難い。

とにかく映画全体を多い尽くす”絶望感”が半端ない。子どもが生まれない世界というものがこれほどの絶望感を生むとは。そんなイメージをフィルムに焼き付けるアルフォンソ・キュアロンは只者じゃない。だから主人公が、帯同するその女性の秘密を知ったとき、その希望の前にはすべてにおいて優先される動機が生まれた。

クライマックスでの戦闘シーンは下手なカット割など一切せず、ひたすらハンディカメラの長回しで主人公を追う。周りでバタバタ人が死んでいく。圧倒的でリアルな絶望。だからこそ希望が輝く。SFという方法論でなければ描けなかったであろうリアルな現代。

...ということは、ちょうどこの公開年からそうなったという計算になるな。