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エレメント・オブ・クライムのrebのレビュー・感想・評価

3.5
VHSでしか観たことがなかった本作ですが、4Kデジタル修復版ということでかなり映像が綺麗になって観やすかった。
しかしやっぱり難解で、疲れる作品には変わりない。
13年ぶりにカイロからヨーロッパに帰ってきたフィッシャー刑事は、連続少女殺人犯の捜査にのめり込んでいき、次第に犯人と自分の境目が混濁してくる。
彼は、恩師の著作「犯罪の原理エレメント・オブ・クライム」という、犯人の視点に立って事件を追体験しながら解決していく方法論に強く影響を受けていた。
何より観ていて疲れるのは、その湿度の濃さだ。とてもヨーロッパとは思えないジメッとした琥珀色の世界の中で、川、雨、汗ありとあらゆる濁った水分に映画は支配されている。
フィッシャーを絶えず襲う頭痛からくる妄想なのか現実なのかを、私たちが見分ける努力はもはや無駄なのだろう。
今回、汗だくツルッツル丸坊主のホテル受付の男が、トリアー監督だと初めて気付いた。前観たザラザラのVHSでは分からなかった汗
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