Foufou

睡蓮の人のFoufouのレビュー・感想・評価

睡蓮の人(2003年製作の映画)
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16分のストップモーション作品。これはまた! というくらい雑、というか端的にいうと汚いパペットのお出ましです。粘土で作られてるんですかね、わざとにしても、なかなか凄まじい。まぁ、ああいう年寄りも居なくはないでしょうけど。なんか、ちょっと、感情移入しにくい。赤旗が似合いそう。

くれ縁のあるような純和風建築の平屋に、ドテラを着込んだ黒縁メガネの男寡が住んでおりました、と。で、これが便所行ったり、朝飯食ったりするのをカットに挟む。時間と金さえあれば私でもできそうな拙いストップモーションを見ながら、ギレルモさん、これだよこれ、となっている。

先日ギレルモ・デル・トロのピノッキオを見たのですが、あの映画に足りなかったストップモーション独特のぎこちなさですよね、これが本作では、それこそあけっぴろげになっている。でもね、じつは私も遊びでストップモーションを作ったことあるんですけど、針金を軸にしたフェルトの人形を机の上に立たせてね、少しずつ少しずつ、気の遠くなるような時間をかけて腕やら脚やらを動かしては一枚一枚写真を撮っていくわけですよ。で、それを繋いでコマ送りした時の感動ですよね。まさにアニマ(魂)を自分が吹き込んだかのような錯覚に陶然となる。アニメーションの本領ですよね。そういう原初的な創作の喜びと、同じように魂を込められるピノッキオの誕生のそれとが呼応しているとはとても思えないあの映画の作り手に、ちょっと本作を見て原点に返っていただきたい、などとエラそーに思ったりなんかしてしまいました。

それはそうと、お話及びテイストは『つみきのいえ』と丸かぶり。まぁ、しんみりしますけどね。クリシェもクリシェです。ただ、そこはほら、敢えて拙いようなストップモーションですからね。不器用に生命を吹き込まれた感じが、おのずと哀愁を帯びるわけで。

にしても、タイトルがきれい過ぎるでしょう。

亀にしたのは、造形が楽だからかしら。
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