ドナウ

鶴は翔んでゆく/戦争と貞操のドナウのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

戦争によって引き裂かれる男女、ひまわりやシェルブールの雨傘が思い浮かぶけど圧倒的にこれが好み。カチューシャが流れる映画はそれだけでいい。冒頭流れるワルツの音色と恋人は瑞々しく、隊列を組み旅立つ鶴の群れは物悲しい。映像的心理描写が良くて、恋人の元へ向かう焦燥感と疾走感、喧騒と音楽にかき消される声の虚しさ、崩れ燃える家屋の不安感と喪失感、空爆とピアノの動揺とざわめき、そのどれもが素晴らしい映像美。出兵と帰還の街道に溢れるかえる人々の悲喜交々、胸に抱き続けてきた希望が砕かれるも皆に花束を分け与え、戦争の悲惨さと人生を高らかに歌い上げるラストは感動的。それでもまだ鶴は飛んでゆく、隊列を組んで…。

いつか怒りのキューバも見てみたいなぁ。
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