天豆てんまめ

アメリカン・グラフィティの天豆てんまめのレビュー・感想・評価

アメリカン・グラフィティ(1973年製作の映画)
4.1
冒頭のone.two.three.fourから始まる音楽から心が一気に踊り出す🕺

ジョージ・ルーカスの『アメリカン・グラフィティ』はたまに観たくなってしまう。

青春映画の定番の本作の舞台はやっぱりカリフォルニア。

全編彩るオールディーズの楽曲も最高で(先程レビューしたビーチボーイズもいい感じにかかる)各キャラクターも味がある。

アメリカンダイナーの雰囲気とローラースケートのウェイトレス、そこに連なるキャデラック。並走する車の窓を開け、女の子をナンパし、ノリよく会話し、男女共に新たな恋に心踊らせ、男同志は牽制しあい、プロムパーティーでバンドが奏で、皆踊る。トイレで噂話もみんな恋に浮かれて、チークダンスには名曲、煙が目にしみるが流れて。

高校を卒業したばかりのカートと親友のスティーヴと演じるのは、リチャード・ドレイファスと今や名監督のロン・ハワード。恋人で、演じたシンディ・ウィリアムスもキュート。2人がこの卒業を境に離れるのかどうか、お互いの愛を確かめる為に他の子とのデート解禁とか言っちゃって。

ドレイファスの役は、信号待ち、隣の車を運転するブロンド美女に一目ぼれをするシーンが素晴らしい。美女は微笑み、からかうように何か呟く。アイラブユーと言ったような、そして彼はわかりやすく盛り上がり(笑)猪突猛進に走り出す、ああ、これが青春。

謎のブロンド美女を追い求めて、途中、元カノの車に乗り合わせたり、不良たちに絡まれ仲間になったりしつつも、ラジオ局に行って彼女に向けたメッセージを流すようにDJに頼みこみノリよく快諾。彼はその後、公衆電話のブースで寝てしまうが、なんと美女から電話がかけてくれる。このバカで楽しいトキメキ感!

後はオタク眼鏡男子のテリーもいい味出して頑張って声をかける。彼の車に乗るデビーも魅力的。お酒を飲みたい彼女の為に身分証無い中酒屋で四苦八苦もウケる。その後もいいとこまでいくのだけど、2人の行く末も面白い。不良に見えて優しい男と早く大人になりたい少女の話では水風船とスプレーのやりあいが楽しい。

そしてハリソン・フォード!テンガロンハットにタフガイぶりがかっこいい。そこに当時のファッションを着飾った魅惑的な女子たちと、青春がぎっしり詰まっている。

地元を離れるかどうか、大学に行くかどうか、恋人と離れるかどうかといった人生の岐路に悩みつつも、一夜のノリで突っ走る。夜明けの朝陽や彼らの後日談も余韻を残す。

本作はたった一夜を描く「ワンナイト」構成だけど、60年代数々の名曲が流れ、心はずっと踊り出したまま。

ああ、また観たくなってきた!