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ローリング・サンダーのatsukiのレビュー・感想・評価

ローリング・サンダー(1977年製作の映画)
3.9
【復讐の為の再びの孤独な戦争】

『タクシードライバー』のポール・シュレイダー脚本で贈るもうひとつのベトナム帰還兵の物語。

今となってはオスカー俳優、そして我らが日本で珈琲を飲む宇宙人トミー・リー・ジョーンズの若かりしき頃を拝める。

『タクシードライバー』は黄色タクシーに乗っていたが、今作は赤いキャデラックに乗った「キャデラックドライバー」となっている。

妻の不倫相手に拷問をしてくれ!とせがんだり、片想いされてる女性を囮に使ったりと変態的な行動を取ってしまう主人公のチャールズ。それもそのはずベトナム帰還兵の少佐で不眠症などの後遺症に悩まされている中、金品目当てに強盗に合い、妻子を失い、更には右手を無くし義手となった。

そしてチャールズは復讐をする為に犯人探しをする旅へと出るロードムービー。

『タクシードライバー』ほどの芸術性は無いものの、同じベトナム帰還兵で違う語り口で狂気を見せられる。『タクシードライバー』は繋がりがなく、狂気へと走ったが、今作は繋がりがある程度あったからこそ狂気を起こしてしまった。

ラストの復讐パートは激アツ。銃弾とおっぱいが飛び出し、血が噴き出し、悲鳴がこだまする。トミー・リー・ジョーンズが狂った様に人を殺すのが最高にクールだった。
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