LEONkei

汽車を見送る男のLEONkeiのレビュー・感想・評価

汽車を見送る男(1953年製作の映画)
3.3
あの汽車の行先は楽園なのか地獄なのか、男にとっては夢のまた夢。

オランダの商社に長年経理主任として地道に勤める汽車が大好きな白髪混じりの中年男は、誠実で正直で几帳面で道徳心が高い故に予期せぬ不測の事態に困惑する。

真面目すぎる男が突然の犯罪に巻き込まれ平和な人生の歯車が狂う物語に見えるが、其れ以上に田舎者が都会に来て我を忘れ身の程を知らない愚かさが核心ではないか。

オランダの田舎者にとっては華やかで美しい大都会のパリは全てが憧れで胸が躍る、生真面目なだけに免疫力もなく簡単に女を信じ込んでしまう負の鈍感力。

優しくされたり親切にされるだけでココロが揺れてしまう柔な中年男は、負け犬扱いされても本人は気づかない哀れさ。

とても裕福とは言えず平凡でも家族と過ごす彼の顔は穏和だったが、欲得に傾き始めると恐ろしく険しい顔に変貌する。

一体、何が彼をそうさせたのか..★,
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