けまろう

時計じかけのオレンジのけまろうのネタバレレビュー・内容・結末

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

『時計じかけのオレンジ』鑑賞。キューブリックは『シャイニング』と『博士の異常な愛情』以来。舞台は荒廃した未来のロンドン。ディストピアで人間賛歌のベートーヴェンの第九が鳴り響く皮肉は非常に好き。その他、有名なクラシック音楽の使い方も心地よい。
主人公のアレックスは犯罪を犯したが故に、どんな理不尽にも抵抗できなくなる「ルドヴィコ療法」の被験対象となる。治療を受けたアレックスは、暴力やセックスをしようとするととてつもない吐気に襲われるようになり、出所後逆らえないことをいいことに非人道的な扱いを受けてしまう。以前自身のしてきた非道な行いに対する報いはあまりにも残酷なものだった。
結局、そうした非人道的な治療を推奨する政府を転覆するために、アレックスは利用されることになる。最終的にはまた犯罪やセックスができるように、再度「治療」されるのだった。アレックスの中に悪が再び芽生えるラストシーンは非常に皮肉であり、悪の在り方そのものに一考を投じる作品だ。流石はキューブリック作品というべきか、奇妙なSFの世界に浸ってしまった。
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