ずどこんちょ

時計じかけのオレンジのずどこんちょのレビュー・感想・評価

時計じかけのオレンジ(1971年製作の映画)
3.7
犯罪が乱立し、治安が乱れて荒廃した世界。ショッキングな暴力描写と斬新な世界観が話題の名作です。
ようやく見ることができましたが、絶妙なタイミングだったかもしれません。様々なジャンルの映画を見てきてオーソドックスな映画に満腹してきた頃、そして不快感を逆撫でするような犯罪描写が連発する映画にある程度耐性が付いた頃で良かった。まだそういうショッキングな映画に慣れていない頃であれば、彼らの無軌道的で残忍な犯罪行為にちょっと吐き気がしたかもしれません。洗脳療法を受けたアレックスのように。

1971年公開とは思えない前衛的で奇抜な演出が印象的でした。
さすがスタンリー・キューブリック。今見ても、カッコよすぎませんか。
未体験のドラッグミルクバーの冒頭シーンから始まり、色鮮やかなエンディングに至るまで、未だかつて見たことがない世界観が広がります。
唯一気になったのは、近未来描写がひと昔前の人々が思い描きそうな近未来感だったこと。原色系のインテリアに若い女性たちの舐める気味の悪い色の飴。それももしかすると、キューブリックのあえての過剰な近未来演出なのかもしれませんけどね。

スタイリッシュだけど残忍で不愉快。
スリルがあって目が離せないけど眉をひそめる展開。
なんとも言えず、気持ちをこねくり回されて平常心でいられなくなるような刺激的な映画でした。