“ミュージカルの映画”、Vol.19。
この企画中に観た『舞妓はレディ』。
『舞妓はレディ』。
『マイフェアレディ』。
響きが同じ。
ストーリーラインが同じ。
そうか、舞妓の元ネタはこれだったか。
『シェルブールの雨傘』『ロシュフォールの恋人たち』でフランスの大女優、カトリーヌドヌーヴを観たので、アメリカの大女優を観ないわけには行くまい、と。
オードリーヘプバーン。
ちょっともう、次元が違う。銀幕のスター。
最初の見窄らしい花売りの娘の時点でオーラが隠し切れてなく、教授の家で小綺麗になっただけでもう美しさが止まらない。
そこから淑女を装い、競馬場に白いドレスで現れた時の衝撃。稲妻が走るかのような衝撃。
カメラや演出の力もあるのだろうが、彼女の魅力に胸を打たれる。
ろくな教育も受けずに、貧困の中、その日暮らしで花売りで育った彼女が、教授と出会い、教授の道楽よろしく、彼女に真っ当な言語を教え、淑女として舞踏会に出させて一端の女性を作り上げる。
まさに、成り上がりのサクセスストーリー。
この底辺から段階的に開花する美しさに本当に見惚れる。息を呑む。
彼女、この時30歳を少し過ぎた頃、かな。
後半の淑女の立ち振る舞いはもちろんのこと、前半の底辺で生きる華のない無作法な花売りからの振れ幅、もう驚嘆。
彼女の魅力。
女優としての全身全霊で表現した魂みたいな凄みと、一輪の花の儚さと脆さのようなものが混在。
オードリーヘプバーン、最高。
この演技の幅は、もう別格、別次元。
他の作品もまたちゃんと観よう。
ブルーレイで観た。
デジタル加工されて、まさに「蘇る映像」。
1964年の映画とはとても思えない。
セットもスゴい。
息づく街の呼吸みたいな、様々な階級、生活をしている人々のそれぞれの空気を感じる。
50〜60年代、ミュージカル映画の宝庫。
ちょっと伝説を垣間見てしまったような興奮が冷めない。
父親もちょいちょい笑わせてくれるし、教授も厳しいのか優しいのか、オードリーの美しさと、お茶目でユーモアに溢れ、エレガントでもある名作。