針

機動戦士ガンダム III めぐりあい宇宙編の針のレビュー・感想・評価

4.5
この3作目が観たくて約9年ぶりにファースト・ガンダム劇場版3部作を観なおしました。

TV版の最後の3分の1の総集編なのですが、この3作目だけ新たに描いた絵がたくさん使われているそうです。それもあって3作の中ではこれが一番いいよねと思う。テンポ的にもやや余裕があります。

ララァとアムロが戦場で再会した瞬間に心が完全に通じ合い、イメージの波がドッパーンってなるシーンがめちゃくちゃ感動的で好きなのですが、今回もやっぱりよかった……。冷静に考えるとやや説明が足りないシーンだと思うんだけど、それを押しのけるぐらいのビジュアル的な説得力があるなぁと。このシーンはタッチからして他の部分と全然違っていて、すべて劇場版のために新たに作り直したものなんじゃないかな。

戦争の過酷な描写も3部作で随一。ソロモン&ア・バオア・クーの拠点攻略戦があまりに悲惨すぎて観てるのがつらくなるぐらい。このへんが描かれる後半の戦争戦争ひたすら戦争のパートは途切れ目のなさが逆に効果的に働いてる気がします。

あとはやっぱりラストが素晴らしいなーと思いました。
敵味方入り乱れての混乱した戦況の中、大局的な戦争の勝ち負けがわりとどうでもよくなっていって(モビルスーツも捨てちゃうし母艦も沈んじゃう、アムロとシャアは生身で闘う😆)、自分と仲間たちが生き延びられるかどうかだけが焦点になるラストがとっても良いと思います。否応なく戦争に巻き込まれて戦わなければならなかった子どもたちが得ることのできたちょっと奇跡的なカタルシス。戦争のための駒ではなく、ちゃんと「個人」に戻って終わる幕引きがなんともはや……。

ガンダムシリーズもごく一部しか観てない人間なのでホントは全体的なことなんか言えないのですが、宇宙と人類の絶望と希望の物語は結局この1作目に尽きるのではないかと思ってしまいます……。ニュータイプというテーマの扱いも、このファーストで全部余さずやり尽くしているように思うのですがどうなのかなー。(カミーユっていう極端なパターンもあるけど、それはアムロとシャアの分かり合えなさの極限の変奏とも言えるので)

やっぱり改めて観ても面白くてよかったです。

(初視聴は2013年ごろ。そのときの感想→ アムロとララァが初めて出会ったとたんに精神が感応して互いを一瞬で理解しあうというシーンがあまりに感動的すぎて痺れました。ファーストガンダムという作品全体がこのシーンのためにあったのかも、と思っちゃったぐらい。)
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