道人

Virginia/ヴァージニアの道人のレビュー・感想・評価

Virginia/ヴァージニア(2011年製作の映画)
3.0
【2012.08.19 劇場観賞(字幕)】

 夢と現を行き来する、味わいのある映画。映像は文句無く美しい。濃密な死の匂いの中にも、老保安官とのやりとりなどクスリと笑える場面もあったり。最後は…うーん、主人公の悪夢の世界から抜け出せたのかどうか。悪酔い感のようなものも残る。

 『ヴァージニア』では夢が大きな要素となっていて、実際にコッポラ監督が見た夢が映画の起源なのだそうだ。主人公の作家は事件の真相をたどる過程で自分の心の傷とも向き合う。愛する者の死を芸術に昇華するのは慰めでも供養でもあるんだろうけど、表現者っていうのもなかなか業が深い存在だ。

 物語の鍵を握る少女“V.”を演じるのはエル・ファニング(ダコタ・ファニングの妹さんだそうな)。吸血鬼的というか、日本の幽霊とはまた違う、西洋の幽霊の美しさを体現していて、いい感じ。ガラス戸越しにこちらを覗き込んで「V」と窓をなぞるシーン、怖いけど美しい。
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