道人

ラブライブ!サンシャイン!!The School Idol Movie Over the Rainbowの道人のレビュー・感想・評価

3.0
 これが今年の「映画始め」になるとは…Aqoursの4thライブに心動かされちゃったから、仕方ないね。

 『ラブライブ!The School Idol Movie』の時と同じようにTVシリーズは未見の状態で飛び込みました。「また海外に行くのか」なんて思いながら観てましたが、「スクールアイドル」という時限性のある刹那の輝きだって永遠、という描き方は通底しているはずなのに、μ'sの映画とはだいぶ違う味わいでした。

 μ'sの時は「スクールアイドル」という輝きの種を世界に蒔くような、光り輝く彼女たちの想いの昇華、極端に言ってしまえば「概念」にまで到達してしまったようなアイドルの人生に出会ってしまったライブドキュメント感がありましたが、今回は撮る側が「Aqoursが大好き」ということを隠そうとしない、「Aqoursの輝きを伝えたい」という想いが迸る、「俺の大好きなAqoursを見てくれ」という一種の再現ドラマ感がありました。なんというか、Aqoursの軌跡を見届けた人の、思い入れと思い出補正がたっぷりかかったAqoursの劇映画というか。同時的というより、未来から過去を振り返る視点というか。もちろん現実のAqoursはまだまだ航海を続けているんですけどね。不思議な感覚でした。

 そんな印象を受けるくらい、Aqoursという少女たちの真剣さ、可愛さ、夢に向かって頑張る人の発する輝きというものがみっちり詰まった映画です。一挙手一投足が可愛い。心に残ったのは、千歌が前のめりで作詞に打ち込むシーンです。あの、机と平行になるくらい身を乗り出してペンを持つ姿。
 あの作詞に打ち込む千歌の表情に、この映画の言うところの「楽しむ」ということが詰まっていると思いました。新しいことへの期待と不安を胸に秘めながら、自分の想いを言葉にすることをまず一人で楽しみ、そして最高の曲をつけてくれることを疑わない相棒へ託す楽しみ。
 そして仕上がった歌をみんなで仕上げ、自分一人だけでは表現できなかったレベルに増幅させられた想いを放つ楽しさ。そしてそれを受け取った観客たちにその楽しさが乱反射していく感じ。「楽しさ」って拡大するんだな、って笑顔になれる感じ。「0から1」の先の輝きだなぁ、って思いました。

(´-`).。oO(観ていて、鞠莉の母親をああいう出し方にするなら、もっと彼女の心の変化を丁寧に描いて欲しかったなぁ、という気もしました。あと、劇中で重要な役割を果たす渡辺月。彼女もちょっと万能キャラすぎた気もしますね。喫茶店で月を見る曜の目線が意味深だったのが気になってます。彼女もスクールアイドルを志した過去があったりして…。あ、Saint Snowの「決戦曲」はめちゃくちゃ格好よかったですね)

 『ラブライブ!The School Idol Movie』の時は予告編で使われていた「Angelic Angel」の引力が抜群でしたが、今回はこの映画のために作られた楽曲ではないけど、劇中歌として採用されていた「キセキヒカル」に胸が熱くなりました。先日の4thライブのLVで初めて聴いて魅了された曲にこの映画で再会できてよかった。

(´-`).。oO(花丸さんは眼鏡っ娘ということでいいんですかね? いいんですかね?(なぜか必死) 曜さんのメガネも素敵だったけど、あれはファッションとしての伊達眼鏡かなぁ。あと作画監督陣に『センチメンタルジャーニー』でも素晴らしい仕事をしていた平山円さんのお名前を発見して嬉しかったです)

【2019.01.05 劇場観賞】

【パンフレット】1000円 
表紙からしてもうキラキラしてますが、中身もポップで可愛いです。スタッフロールも完全収録で、アニメ映画好きには嬉しい。ただ、ただ、キャストのコメントが全く載ってない!という前代未聞の作り…そりゃあないぜ。中の人たちとのリンクが強い作品なのに。Aqoursの映画へかけた思いも読みたかった!欲を言えば千歌が前のめりで綴った歌詞とかも載せて欲しかったなぁ。酒井監督のコメントはたっぷり読めてよかったのですが、全体的には残念な出来。
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