わがはい

PASSIONのわがはいのレビュー・感想・評価

PASSION(2008年製作の映画)
3.8
世間的には完全に大人だが大人になりきれないアラサー男女のこじらせストーリー。
正直、登場人物全員クソです。
不思議なほどだれにも感情移入できない。

・・・が、ちゃんとおもしろい。
『悪は存在しない』で一躍脚光を浴びる濱口竜介監督の初期作で、もうなんつーかこのときから才気が溢れまくっている。

リアリティあるけどリアルじゃない会話劇は終始圧巻。
とりわけ中盤の河井青葉演じるカホによる生徒とのイジメに対するシーンは別の映画に切り替わったかのように異彩を放つが、それが最終的に全体のストーリーと繋がる構成は天才的だ。

ただ少し冷めてしまったのは『悪は存在しない』と同様、お得意の1カット長回しが冗長なこと。
最大の見せ場であるカホとトモヤふたりだけのラストシーン、ダラダラ長ったらしいしオチも「はい?」って感じだった。

そして最大のホラーシーンがある。
ケンイチロウ(正直この役者だけ演技が絶妙に下手でそれがまたリアル)がカホに告白するシーン、長年の片思いがバックグラウンドにあるのを差し引いてもとにかくキモすぎた。男の自分が観ても鳥肌が収まらなく、なんなら唯一まともキャラの設定なのだがフラレオチにはざまあみろとすら思ってしまった。。

とはいえ濱口監督を語る上で絶対に外せない作品であり、例えば三宅唱監督は作品を重ねるごとに世界観を確立していったのに比べ、濱口監督はもう最初期から才能が確立されていて最新作までブレていないのだ。
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