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劇場版ポケットモンスター 水の都の護神 ラティアスとラティオスのzのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

水の表現だったり美しい街並みだったり兄妹愛だったり...評価されるべき点は色々あるけれども、やはり昔のポケモンならではの、ポケモン一体一体の感情の機微を表す繊細な表情・動きが丁寧なところが一番素敵だと思う。
これは同時上映の星空キャンプも大いにそう。
今のポケモンはその点が少し機械的になっている気がするが、人間の言葉を喋らないラティアスがどれだけ本当に人間の少女と同等であるか、瞳は当時のオタクを掴むいい意味でアニメアニメしい表現であるし、架空の生物であるラティアスに真に魂が宿っていた。

ラティアスは真に少女、それも4~6歳くらいの女の子らしい感情の機微であったし、それに比較してラティオスはしっかりとしたお兄ちゃん。
今までのポケモンの中でトップレベルに魂の宿ったポケモンだったと思う。

手描きの2Dと3Dとの際が目立つ点はあるものの、当時の3D技術、アルトマーレの街並みや「ゆめうつし」での水中の様子のカメラワークは美しかった。
シンプルに感動する。
この3Dカメラワーク凄いでしょ!とシンプルに魅せているのも良かったと思う。

怪盗姉妹の描き方も良かった。
キャッツアイを想起させられるかのような、かっこいい女怪盗の時点で大好きだし、何より姉妹で考え方の差異が途中から際立って見られる点がいい。
2人でまとまって「敵です!悪者です!」というような、勧善懲悪の話よりも、敵でも一人一人の人間性が映画の尺内でも簡単ながら垣間見えたのが素敵だった。

何よりも、ラティオスの犠牲。
彼の犠牲を「死」と呼ぶかどうかで宗派が分かれそうな気もするけれど、まあいいんじゃないかな。
鹿目まどかのように概念になった、という感じが一番しっくりする。
アルトマーレを守るために自らが「こころのしずく」となり、神に近しい存在となった。
ラティアスと比較して彼はしっかりお兄ちゃんで、しっかり強い責任感を抱いている。好きです。かっこいいよ!!!!!

精神年齢的に、ラティオスが14~17歳くらいの兄、ラティアスが4~6歳の妹、という印象を受けました。
言葉を喋らないという制約の中で、これだけの繊細な人物表現が成されていることがすごいと思う。
ラティアスはジラーチ、マナフィなどに比較すると身体も大きく、決してか弱い可愛らしさを併せ持つ見た目でもなく、フォルムもかっこいいのに、これだけ幼さが感じ取れることが凄い。

ラティアスからサトシへのキスも素敵。
ラティアス独自の人間の姿ではなく、カノンと全く同じ姿をとる事で、大人の皮を借りて子供が悪戯しているかのような、ラティアスの可愛らしさがより増していると思った。
ラティアスのキスはとても幼くって、恥じらいもなくって、初めての恋、という感じがした。

まだ味わい足りないです、この透き通って美しい作品をもう一度観たい。
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