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座頭市物語のtamagoのレビュー・感想・評価

座頭市物語(1962年製作の映画)
4.5
1989年に十数年ぶりに製作された座頭市を昔観て、すごく面白かったけど、そこから昔のシリーズに遡ることはしてませんでした。
で、最近、フィルマでフォローさせてもらってる、さやかさんのMarkを見て思い出したので観てみました。
観て良かった〜
さやかさん、ありがとう!

モノクロですが、それが逆に目が見えない座頭市の心象風景を表しているようで、冒頭の博打の場面から一気に物語に引き込まれていきました。
盲目であるが故の市の鋭い感覚が、顔のアップを活用したカメラワークで表現され、緊迫感を盛り上げています。
それに加えて市の並外れた技を色んなエピソードで積み上げていき、妙に納得させられてしまいますが、とにかく格好いい〜

市が客分として世話になる組の手下の妹、おたねとの交流が男女の機微を感じさせてくれて、切なくなってしまいます。眼が見えないからこその二人のやり取りに任侠ものなのに純愛を感じました。

平手造酒については背景をほとんど語らないにもかかわらず、その境遇が手にとるように分かり、市との交情に胸が熱くなりました。
とにかく勝新の存在感はさすがとしか言いようがありませんし、平手造酒を演じた天地茂も渋い!
この後、シリーズ化されたのも納得の世界観にどっぷりと浸かることができて、幸せな映画体験でした。
今の邦画も頑張ってほしいなぁ
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