tamago

クーリエ:最高機密の運び屋のtamagoのレビュー・感想・評価

5.0
冒頭からぐいぐい引き込まれて、あれよあれよという間にスパイ二人の立場になったかのような危うい緊張感が持続して、まさにサスペンスとは、こういうことなんやと感じさせてくれました。
これが実話とは、本当に驚きです。それぞれの歴史の転換点に名もなき人たちがいて、その人たちがいなければ今の世界は無かったと納得しました。

実話だからこその苦い現実、上っ面では無い本当の内面から湧き出してくる正義感。普通のビジネスマンがここまでやり切ったのは、国のためというよりも結局家族、子供のため。そこに胸が熱くなりました。
一方でソ連側のスパイの立場も観ていて辛くなる。自分の国を裏切りたい人などいないはず、だけど、自国の、世界の行く末を考えると選択せざるを得なかった苦渋の決断。
国のために冷酷にならざるを得ないエージェント達の苦悩も痛いほど伝わってきて、登場人物全てに感情移入してしまう圧巻の脚本と演出でした。

今の時代に必見の名作だと思います。キューバ危機の裏にこんなお話があったなんて、こういうことこそ、世界史で教えてほしかったです。
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