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エレファント・マンのScriabinのレビュー・感想・評価

エレファント・マン(1980年製作の映画)
4.0
リマスターされたのか、めちゃくちゃ画質クリアだった。
ヴィクトリア朝が舞台であることがよく伝わってきてとても良かった。メリックの部屋からは後期ヴィクトリア朝の瀟洒な様子が伝わったし、写真や素描、ペーパークラフトなど視覚的なオブジェにこだわるところも。ジョン・ギールグッドが出てくる時点で急に説得力が増し、最後のパントマイムの舞台! 幻想的に仕上げていたのも良かった。聖書の言葉を知っていること、英語を話すことが人間の条件とされるという描写も時代物として良かった。スモークを主要モティーフにしていたのもヴィクトリア朝らしい。あの俗なテーマ音楽もかなり好き。
イレイザーヘッドと比べるとかなり大衆向けな構造に見える一方で、メリックの特殊メイクや夢のシーンはリンチ節という感じ。微妙にコメディを入れてくる変なセンスも。夢のシーンはクエイ兄弟の後期作品を思わせたし、バイツ役によってフェリーニ映画とも繋がってくる。母の写真を舐めるかのような冒頭も、フェティッシュでリンチらしい。マルホランド・ドライブの冒頭とも被って見えた。
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