70年代の映画界を席巻したフランシス・フォード・コッポラ監督が、80年代1本目に手掛けたミュージカルロマンス。
ラスベガス。5年間同棲していたカップルが、独立記念日の前日に大喧嘩し、それぞれ新しい恋に走る。
"Bora Bora"🏝️
巨匠コッポラを破産に追い込んだ曰く付きの作品とのことだが、自分としては最後まで興味深く鑑賞できた。興行収入的には失敗作なのかもしれないが、映画のクオリティは確実にある。確かにストーリーは平々凡々だったが、そのマイナスを補って余りあるだけのヴィジュアルの素晴らしさがあった。
本作の見所は、完璧主義のコッポラ監督が莫大な予算を注ぎ込んで創り上げた巨大セットと、名匠ヴィットリオ・ストラーロのドリーミーな撮影が合わさった人工美、映像のリッチさに他ならない。ムードたっぷりの音楽と、カラフルなネオンライトによって演出された幻想的な世界観に魅了された。中盤のミュージカルダンスシークエンスの豪華絢爛さといったらない。
作品の特徴は、ネオン煌めくラスベガスの街をはじめ、全シーンがスタジオセットで撮影されていることと、男女の内心を歌で代弁していること。
青色のネオンライトに照らし出されるナターシャ・キンスキーの美しさが別次元。出演シーンこそ少ないが、サーカス団員役としてお見事な綱渡りと玉乗りを披露するなど、妖精のような輝きを放っている。出演者の中で、ミュージカルシーンを自分で歌っているのは彼女だけとのこと。
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