コロッケもごば

素晴らしい一日のコロッケもごばのレビュー・感想・評価

素晴らしい一日(2008年製作の映画)
4.7
素晴らしい映画。
ぜひ見てほしい。

わたしはどんなハリウッド的SFよりも、何十億円の豪華CG映画よりもこういう作品が好き。
日常の暮らし、ささやかな生活の中での行き違いや、衝突、誤解の海で、人々が道に迷い、でも言葉を交わし、にこりと笑い、ある時は拳を突き立ててケンカをする作品が一番好き。

ネタバレも何もない。
とにかく何もオチはない映画。
だけど、心が震えるほど感動するのである。


主人公の男(ハ・ジョンウ)は、金にも女にもだらしのない、現実味のない夢ばかり見ている男。そんな彼に嫌気がさして別れた元彼女(チョン・ドヨン)は、彼に貸したお金を取り返そうと姿を消していた彼を見つける。

男は悪びれる風もなく、彼女を連れて自分の知り合い5,6人の元を訪れて、彼女に借金を返すためにさらにお金の無心をしにいく。

常に、笑顔を絶やさず豹豹としている彼。
彼の知り合いは、だらしないはずの彼に優しく、お金を次々と貸していく。通りすがりの人間でさえ彼の魅力に取り込まれていく。

一方で、仕事にも男にもお金にも見放されていた彼女は、
ぎすぎすとしていて、周りに叩きつける言葉は壁のように冷たい。
自分と彼との差、それは何だろう。
何かが彼女の心に静かに語り掛ける。

小さなロードムービー映画と言えないくもない。
たった一日だけの旅だが、わたしはこの作品が愛しくて、抱きしめたくなるほど、人間の小憎らしさと愛しさがつまっていると感動した。
原本は、日本人作家。

人間の生き方。
心の持ち方。

こんなすばらしい一日が送れた彼女は世界一しあわせではないか。
イデロガ チョア(このままでいいんだよ)
彼が隣でにこにこ笑っていた。

名優ハ・ジョンウとチョン・ドヨンのすばらしい演技に拍手したい。