千年女優

籠の中の乙女の千年女優のレビュー・感想・評価

籠の中の乙女(2009年製作の映画)
3.5
校外にある柵に囲まれた住宅に暮らす家族で、外界は危険な世界だとして犬歯が抜けるまで子供は出れないと嘘を吹き込んで長女・次女・長男の三人の子供を成人まで育てた父母。思春期を迎えて発情を覚えた長男のために外部から性奉仕のための女性を呼ぶことを決めた一家が、それをきっかけにして変化を迎える様を描いたドラマ映画です。

ユニークな作風で名を馳せるギリシャ人監督のヨルゴス・ランティモスが、その評価をカンヌ国際映画祭での「ある視点」部門グランプリやアカデミー賞外国語映画賞ノミネートで定着させた2009年公開の作品で、ギリシャでも高く評価されてギリシャ州映画賞に代わって設立されたギリシャ映画アカデミー賞の第一回最優秀作に選ばれました。

コントロールをする者とされる者の歪な関係性によって生じる不安とそれが崩れる解放の予感を推進力にしたお話で、誰を見ても一筋縄ではいかない変人によるずれたコミュニケーションでユーモアを演出します。進んでみると意外に期待した突き抜けるようなところまでは至りませんが、観る者の緊張感を上手く煽りながら展開する一作です。
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