シンタロー

女の勲章のシンタローのレビュー・感想・評価

女の勲章(1961年製作の映画)
2.8
山崎豊子原作×吉村公三郎監督作品。大阪船場のいとはん育ち・大庭式子は、神戸で小さな洋裁教室を営んでいた。布地問屋の息子で野心家のマネージャー・八代銀四郎が金策に奔走したおかげで、甲子園に念願の服飾学院を開校した。式子には3人の内弟子がいた…負けず嫌いで繊維会社に恋人がいる津川倫子、銀行員の娘で派手好きの坪田かつ美、おっとりしてるようで聡明な大木富枝。大学まで出ながら、式子の下働きのような事をしている銀四郎を訝しむ。彼女たちにはそれぞれ野心と闘争心があり、銀四郎はそこにつけ込んで、さらなる事業拡大を目論んでいた…。
個人的に相性の良くない山崎豊子の原作は未読。タイトルやポスターから、豪華女優陣のサクセスストーリーみたいなものを想像していたら…何だこれ感がスゴい。オープニングからして、モールス信号みたいな音から、怪獣映画みたいな音楽にア然。"女の勲章"なんてタイトルにしといて、ある意味主役は銀四郎演じる田宮二郎じゃん!となってくる。自信過剰で調子乗り、胡散臭い眼鏡に、大袈裟な大阪弁で喋り倒す田宮が、いかに女たちをたらしこんでいくかがフィーチャーされてしまい、なんだかなーって感じ。最年長ながら1番純情なヒロイン・式子は気の毒過ぎて同情したいんだけど、あまりにも愚か過ぎて、それも無理。ファッションは二の次で、若い男の肉体に溺れてしまった中年女子に見えてしまうのがイタい。こうなったら、最後は女たちで復讐!一発逆転ってのを期待したら、後味ワル!自分には合いませんでした。
主演の京マチ子。こんなのも演じれるんだーって、幅の広さは感じました。いとはんで洋裁の世界しか知らないわけですから、仕方ないのかな。ひたすらもだえ苦しむ姿を見るのは辛かった。若尾文子はいつも通りでした。そもそも役も芝居も引き出しは多くないタイプ。マチ子との激突や、田宮との濡れ場なんかを期待してみたけれど、あっさり裏切られました。叶順子も、本作ではほとんど見せ場も魅力も無く残念。そんな中、中村玉緒が可愛らしく、芝居もおもしろくて魅力的。唯一田宮に騙されたフリして、巧く利用した玉緒にスッキリさせてもらえました。4人ともトップデザイナー役にしてはファッションも…玉緒と若尾は、素敵なのはあったけど…マチ子が変なの頭に巻いてたり、叶は髪型も派手な原色も似合ってないし、首傾げたくなる。裏の主役・田宮二郎ですけど、これ観たら嫌いになる人続出しそう。それくらい厭味に演じました、というなら成功なのでしょうね。
シンタロー

シンタロー