RyukiW

この森で、天使はバスを降りたのRyukiWのネタバレレビュー・内容・結末

4.9

このレビューはネタバレを含みます

【痛みを分かち合うということ、そして再生と希望】

見終わったあとは不思議な余韻に包まれていました。
決して幸せではなく悲しいのですが、悲しいだけではなく希望を残すエンド。

なんと表現したら良いのでしょう。主人公の死というリアリティと、主人公の死と引き換えに街に降りてきたハナの息子。ここは少しおとぎ話的な余韻を残します。その現実感と物語観がうまくミックスされて独特な雰囲気を作り出していたと思います。

ハナにもパーシーにもジェルビーにもそれぞれ傷があり、痛みがあります。その傷や痛みが具体的には何なのかということを説明せずとも痛みを背負って生きる人々はお互いをどこか理解し、信用し自然と支え合っていくのではないかと思います。それがまさに劇中でもハナとパーシーとジェルビーの三者の関係性からも見えてきます。

結果としてパーシーは命を失ってしまいますが、パーシーはこの森に舞い降りて、この街を救っていたのだと思います。
もちろんひとつの街を再生させるために命を犠牲にしてよいわけではありませんが、パーシーという存在はどこか最初から「死」に物凄く近い存在かと思います。
街は、典型的なアメリカの保守的なムラ社会。変化を恐れるということ、そしてそのままでは変われなかったはずです。
パーシーの存在によりこの街が、再生していく未来が見えます。パーシーも最期にこの村で痛みを分かち合えるハナとジェルビーに出会い、希望に向かい歩みだしていったこと、それは幸せだったのではないでしょうか?

そう言ってもやっぱりパーシーとハナとジェルビーで幸せになてほしかったなとは思いますよ。そしてネイハムは本当に許しがたいです。アクション映画なら殺されてるはずです。

しかし、この映画はこのエンドでよかったと思います。素敵な映画を見させてもらいました。邦題の是非はともかく、興味をそそられ手にとったので、邦題をつけてくださった方には感謝です。

2019.3/30
RyukiW

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