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伊賀忍法帖のtakのレビュー・感想・評価

伊賀忍法帖(1982年製作の映画)
2.8
草刈正雄主演の「汚れた英雄」と併映で公開された、山田風太郎原作のアクション時代劇。角川映画だから、あの頃のメディアミックスの宣伝は強烈に覚えている。大人になった今だから、冷静に観ていられるのだけれど、公開当時の自分が観ていたらさぞ悶々としていたことだろう。渡辺典子と美保純の首すげ替え、惚れ薬を使って人妻を我がものにしようとするお殿様の悪党ぶり。5人の忍者僧の強烈な個性。その惚れ薬を作るのに流される処女の涙。風祭ゆきが真田広之ににじり寄るあの動き。きゃー。

真田広之の相手役は、オーディションで選ばれた渡辺典子。友人に聞いたところによると、彼女はこのデビュー作を携えて出身高校で凱旋上映をしたとか。きっと体育館は男子の「おおー!」と女子の「キャー!」が渦巻いていたことだろう。薬師丸ひろ子や原田知世は、初キスシーンがどうのとやたら話題になったのに、渡辺典子はデビュー作でいきなりこれか。

「魔界転生」のヒットに続けとばかりに、山田風太郎の世界でアイドル映画を撮ろうとした結果がこの怪作。東大寺をセットで再現して派手に燃やす場面も見どころのひとつ。ツッコミどころは満載だが、時代劇だからこそ見られる面白さもたっぷり。成田三樹夫の怪演、中尾彬の悪党振り、斬られ役で有名な福本清三のカッコよさ。出番は少ないながらも千葉真一は場の空気を変える。歯切れの悪い結末にまた悶々としてしまうのだが。
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