みほみほ

ブルーベルベットのみほみほのレビュー・感想・評価

ブルーベルベット(1986年製作の映画)
3.7
💄2023年208本目💙(字幕)

" あとは警察の仕事だ "

頭の中が???でいっぱいの中、締めくくられる本作。ここで終わってしまうの?と衝撃的ではあったが、妙に癖になる雰囲気を醸し出し続け、アブノーマルな世界と普通の世界を行ったり来たりするジェフリーの不安定さが人間の脆さを表しているようで不思議な心地だった。

場面切り替えの絵と差し込む速度が斬新で不思議と目に焼き付く。立ち入り禁止のテープ、ドアをノックする場面、木の倒れる音を流す不思議なローカルラジオ等、なんの気ない一つ一つの光景が何故か世界観を構築して強固なものにしている。

冒頭とラストの揺らめく漆黒ブルーのカーテンはたまらなく良かったし、耳の中へ進んでいったり、地下へとアップした先に蠢く無数の虫達なんかもこれから何が起こるのかと不安を掻き立て、映画に求める非現実への扉に誘ってくれる。

こういった映画の周りを取り巻く映像美においては抜群に良くて見惚れてしまったが、肝心なストーリー展開の面で思ったより突き上げるものがなかったので、ちょっと物足りなかったかな。

あの組織やら歌手の家族とか背景が細かく描かれるわけではないし、噛み砕いて解釈していかないとスッキリとは出来ない。

しかし…!!この映画の中に登場する デニス・ホッパーの怪演にはご注目いただきたい。むしろそこだけでもいいくらいだ!!笑

映画のあらすじなんかには、アブノーマルやSM、暴力、SEXなどの強烈な言葉が並んでいるが、酸素マスク+幼児プレイ+暴力と普段正反対にいるようなものたちが複合した彼の複雑な性癖には感服いたしました。もはや性行為ではなく、歌手の女性を使った自慰行為でしかなくて、衝撃と何故かその馬鹿げて見える行為の奥に感じる自由度に理解と共感(こんな事はしませんが)があり、ひと口にアブノーマルと言っても、世界は広く自由だなと微笑ましくなり大爆笑。面白過ぎてそのシーンだけ2回繰り返して観ました笑笑

こんな強烈なキャラクターを生み出すデヴィッド・リンチは「ツイン・ピークス」の魅力も合わさり、流石!としか言いようがないが、ストーリーにおいては自由度があまりに高過ぎる気もする。私は映像の差し込み方が妙に好きだけど、映像だけでなくストーリーの方でも最後まで惹き込まれるともっと嬉しい。

狂気と独特な間合いの狭間に生きる不思議な人を描く部分で、最近観始めた「ツイン・ピークス」と重なる部分も多くあり楽しかったです。

「ツイン・ピークス」ではクーパー捜査官(カイル・マクラクラン)が好きで この作品を観ようと思いましたが、キャサリンの気弱な夫を演じている俳優さんも本作に出演していて、一瞬ツインピークス観てるのかと錯覚してしまい嬉しかった。(冒頭で釣りに行き、ローラの死体を発見するおじさん)

デヴィッド・リンチ作品は、最初に見たものが独特過ぎたから自分はあまり通って来なかったけど、「エレファントマン」を観て、そして「ツイン・ピークス」を観てから見る目が変わり、古い作品で気になるものが沢山あるので、これから気になっているものを片っ端から観ていきたいと思います。

本作ではもう少しアブノーマルな世界に取り込まれるカイル・マクラクランを期待していましたが、その部分では期待外れでした。危険な世界にちょっと片足突っ込むみたいな感じで、もう少し危機感が欲しいところ。

デニス・ホッパーあっぱれ🙌🪭
(名はよく聞くがこんなにいい俳優さんだったとは!!午後ローで放映されやすい作品に沢山出演しているイメージあった)

ちょっとローラ・ダーンとの恋愛がだるかったけど、世界を行き来するには必要なんですかね…最後がもう少しパンチ効いてて欲しかったけど、普通にハッピーエンドな感じで 組織のこととかもっと知りたかった。

死体が斬新でやっぱりデヴィッド・リンチの映像へのこだわりが好みなのかも。映画って自由だな〜その発想いいな〜と惚れました。リンチ開拓楽しみ🩶🩵🩷
みほみほ

みほみほ