黄推しバナナ

釣りキチ三平の黄推しバナナのレビュー・感想・評価

釣りキチ三平(2009年製作の映画)
4.5
監督 : 滝田洋二郎、原作 : 矢口高雄による漫画「釣りキチ三平」の実写化。

米国で活躍するバス釣りのプロ、鮎川魚紳(塚本高史)は日本に一時帰国していた。秋田県の川で行われた鮎釣り大会。圧倒的な成績を収めた孫の三平 三平(須賀健太)、叔父の一平(渡瀬恒彦)たちを見て興味を示す鮎川魚紳。三平 三平と馴染み高山 ゆり(土屋太鳳)が川遊びしてたところ鮎川魚紳が歩み寄る。高山 ゆりに変質者扱いされ警官に事情聴取される鮎川魚紳。鮎川魚紳がバス釣りのプロと知り三平 三平はすぐに意気投合。今夜の寝床が無い鮎川魚紳は三平家に宿を取る事に。酒を酌み交わした晩「夜鳴き谷の怪物」と呼ばれる怪魚の話が持ち上がる。鮎川魚紳が秋田県に立ち寄った理由は「夜鳴き谷の怪物」の伝説を確かめるためでもあった。東京から三平 三平を引き取りに急に帰省してきた三平 愛子(香椎由宇)、三平の姉も交えて三平、一平、魚紳一行は伝説を確かめるために「夜鳴き谷」へと向かう。亡くなった父親、三平 平(萩原聖人)との思い出の記憶とその関係が紐解かれる。その時、愛子、三平、魚紳の三人の心が次第につながって行き感動的なラストシーンを迎える。

☑ この作品悪い人が一切出てこない。
鮎釣り大会後で言いがかりを付けてきた三人組、松山(小宮孝泰)、竹田(志村東吾)梅沢(安居剣一郎)も三平と鮎釣り再対決で三平の純粋な心に浄化される。東京から三平 三平を引き取りに急に帰省してきた三平 愛子(香椎由宇)もその一人だ。
☑ 物語の盛り上がりに高低差が無い。
間違っても悪い意味では無い。映画そのものが静かに平常心を保っている。

秋田県南秋田郡五城目町馬場目の北ノ又集落にある山と自然と田畑に囲まれた三平 一平の茅葺屋根生家…
ここは以前レビューした「イタズ-熊-」のロケ現場にもなっている。

この周辺の五城目町ネコバリ(根古波離)岩での、三平 三平と鮎川魚紳の二人の静寂な鮎釣りの渓流シーン…

法体の滝(秋田県由利本荘市)
上段の一の滝は落差13m、二の滝は2.4m、三の滝は42mの3段からなり、
総落差は57.4m、滝壺は深く大きい、三平 愛子の心を少しずつ洗い流す「夜鳴き谷」シーン…

夜鳴き谷までの道のりの、広葉樹と熊の生息分布、熊による爪研ぎ、マタギのテリトリーと何日も熊を待つための納屋、そして自然に満ち溢れた森と差し込む穏やかな日差し…

滝田洋二郎監督はこの静かに平常心を保つ演出に長けている。

夜鳴き谷の怪物の白組のVFX技術がどうのとか…そんな事はどうでも良くなってくる。何故ならその事に重点を置いてないからなのだ。

自然と人がテーマ。

駄目だった方はもう一度上記の事を頭に入れて鑑賞してみて欲しい。

余談ですが、
当時シリーズ化の話があったはずだが…もう12年も経過してしまったか…

原作者 : 矢口 高雄先生も去年亡くなり…
三平 三平役の「須賀 健太」も26歳に…

矢口 高雄先生いわく、三平 三平はずっと少年のまんまで描き続けるのにこだわっているのだとか。
【漫画】釣りキチ三平 平成版の連載が開始した時に、前作から28年月日が経っている、三平 三平を大人にしなかった理由が素晴らしい。

奥さん子供が居て家庭を支えてるため会社で汗水たらして働く社会の波に揉まれて疲弊している三平 三平
まだ大人になっても釣りバカで休日には家族そっちのけで家族サービスもせず、釣りばかりしている呆れた三平 三平

そんな姿見たいですか?
少年の無邪気(一点の曇もない純粋)な姿だからこそ、見てる方が子供の頃の心象風景を思い出して感動するのではないですか。
そんな矢口 高雄先生のコメントを記憶している。

シリーズ化を待ち望んでいたが…
残念で仕方ない…

隠れた秘境…
いや…
隠れた名作
の1つ

①鑑賞年齢30代
②心に余裕鑑賞なし
③思い出補正なし
④記憶明確
黄推しバナナ

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