EugeneHashimoto

パッチギ! LOVE&PEACEのEugeneHashimotoのネタバレレビュー・内容・結末

パッチギ! LOVE&PEACE(2007年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

本筋の70年代の生活に、寓話的な紙芝居、美化された自国の歴史を見せる時代劇と戦争映画、実際のところの醜い戦争の描写を編み込んでいる。最近読んだ本に「朝鮮に戦後などあったためしがない」という一節があってはっとさせられたけど、日本人が勝手に「戦後」という言葉で時代を区切って戦争を前の時代に封印したつもりでいても、それぞれの人生のなかでは続いている、どころか、繰り返されている。そう思わせる構成が巧みだった。ドラマや映画が作られたものであることを強く意識させる仕組みを物語映画の中に組み込むの大変な勇気だなと思う。

職質のシーンすごくいい。警官に「犬の首輪くらいちゃんと付けとけよ」と(ムカつく標準語で)言われたのにキレた佐藤が警察手帳を「犬の首輪」呼ばわりして応酬するところとか。佐藤が「お前ぇマジびしゃがげっぞ?」(これどういう意味かわからんかった)と言ったのに警官の片方が吹き出してしまい、あ、たぶん佐藤とこの警官はだいたい同郷なんだろうなと思わせるところとか。荒っぽいシーンだけど作り込みが細やか。

《パッチギ!》と《パッチギ! LOVE & PEACE》とは、別々に、それぞれ高く評価したいな。

井坂俊哉本当に素晴らしかった。近所にいるちょっと怖いけど味方にいたら心強いあんちゃんのかんじ。そら自分もヨンギだったら「アンソンヒョン……へへッ」って言ってまうわな(ヨンギ役の方も素晴らしかった)。キムラ緑子もすごいいい。何気ない一言、「6度9分やねん」とかにリアリティがある。家族のシーンがごく自然で、見ていて幸せだった。桐谷健太、唯一無二。イカれチンピラが本当に上手い。風間杜夫もいい。田中要次も木村祐一もでんでんもいい。
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