月うさぎ

サイコの月うさぎのレビュー・感想・評価

サイコ(1960年製作の映画)
4.0
映画「ヒッチコック」に「サイコ」撮影シーンがあって、この映画をもう一度ちゃんと観たいと思っていたのです。
シャワーのシーン。その時の悲鳴。顔の背け方。
ああ。これか~~。と、満足。
徐々に変化するアンソニー・パーキンスの表情は実に素晴らしいですね。

子供の頃テレビ放映したのを観た時以来、久々に鑑賞しました。
結末は知っているので、驚くことはないのですが、それでも緊張感のある演出にハラハラさせられました。
ホラー、スリラーのお手本といわれる作品ですが、カメラワーク、カット、音楽の効果など全て計算されているのだと思います
そして役者さんの演技がまた素晴らしい。

精神障害を殺人理由に取り上げ心理分析までやらかすとは(今や説明過剰にも感じられますが)画期的で衝撃的な映画だったことでしょう。

リマスタリングされ、非常に明るくなめらかで美しくなった映像により、
女優さんの美しさ、ベイツ家の邸宅の内装の思いがけない豪華さにも目を見張りました。
でも、それに反して「怖さ」という観点からすると、美麗な映像は恐怖を和らげると思います。
人は何だかわからないものを恐怖するものです。
認知し知覚でき理解できることよりも不条理さや得体の知れなさが不安を招き恐怖に陥れるのです。
だから、こんなにすみずみまで光に照らされたようにきれいに見えちゃうとね。
昔より怖くないんだな…。
作り物が作り物に見えてしまいました。
それが唯一残念です。

今の技術ならもっとリアルな恐怖が可能。
と考えたのでしょう。だからリメイク。
なるほどそれは気持ちとしてわかります。
でも映画は映像だけでできているのではないのでした。
役者が違えば別作品なんですよね。
リメイクするならもっと上をいく役者を使わないと。未視聴ですが、結局オリジナルの評価のほうがずっと上らしいですね。
月うさぎ

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