ユースケ

アバターのユースケのネタバレレビュー・内容・結末

アバター(2009年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

【もののけ姫】の森を舞台に【エイリアン2】のキャラクターたちが【マトリックス】しながら【ダンス・ウィズ・ウルブス】するという既視感溢れるお話。

公開当時、聖なる森の精のフワフワ感を味わうために劇場で3D版を二度も鑑賞しましたが、家で2D版を鑑賞するとバックボーンの描かれない薄っぺらいキャラクターと勧善懲悪&ご都合主義の薄っぺらいストーリーが際立って、3Dでの上映を前提に作られた3D効果ありきの映画だという事がよくわかりました。せめて主人公が森に選ばれた理由や主人公が英雄トルークマクトになるために空の王者トルークを従えるシーンはちゃんと描いて欲しかったです。

なんだかんだ文句が多くなりましたが、クライマックスの傭兵部隊VSナヴィ族の全面戦争はテンアゲ。森の動物たちがナヴィ族に加勢する頃にはどっぷり感情移入。人間どもをぶち殺せって気分になります。

みどころは、スティーヴン・ラング演じるマイルズ・クオリッチ大佐のキャラ立ち。
【ワルキューレの騎行】を流しながらコーヒーを片手にナパーム弾を発射して村を焼き尽くす【地獄の黙示録】のビル・キルゴア中佐のように、聖なる木を破壊する作戦をワルキューレと名付け、コーヒーを片手にミサイルをぶち込む姿にシビれっぱなし。「ゴキブリはこうやって追っ払う」「来い、パパが相手だ」などの決めゼリフも80'sっぽいAMPスーツ(三菱重工業製!日本万歳!)に乗り込んでのシャドーボクシングもたまりません。
【ドント・ブリーズ】に彼がキャスティングされるきっかけは本作のアクションを起こす前のディープ・ブレス(深呼吸)であった事は間違いないと思います。

「子供の頃、ありとあらゆるSF小説を読み漁っていた。【アバター】は、その集約なんだ。」と堂々とパクリを認め、「見慣れない環境で、見慣れたタイプのアドベンチャーを作り出したいと思った。異星の土地と文化を舞台にした、典型的なストーリー。」と薄っぺらいストーリーを認めたジェームズ・キャメロンは、【フィフス・エレメント】でパクリを否定したリュック・ベッソンや【インセプション】でパクリを否定したクリストファー・ノーランより潔いと思うし、シガニー・ウィーバー、ミシェル・ロドリゲス、ゾーイ・サルダナの強い女を意識しまくったキャスティングやヘタレな主人公が強いヒロインに抱きかかえられるシーンなど、強い女に蹴られたい願望のさらけ出しっぷりも潔いと思いました。