TAK44マグナム

ザブングル グラフィティのTAK44マグナムのレビュー・感想・評価

ザブングル グラフィティ(1983年製作の映画)
3.3
先日、仕事中にラジオを聴いていたら、串田アキラ特集で曲がかかって、仕事そっちのけでノリノリになったんですけど、その時に「宇宙刑事ギャバン」や「宇宙刑事シャリバン」と共にかかったのが「戦闘メカザブングル」の主題歌だったんです。
串田節が超かっこういい、80年代アニソンの傑作です。
ザブングルと言えば現在ではお笑いコンビですが、あれはこのアニメが由来だったと思います。

80年代のロボットアニメというと、それまでのスーパーロボットものよりも、いわゆるリアルロボットアニメが台頭してきた時代であり、ガンダムを生み出した日本サンライズ(現:サンライズ)及び富野監督は正に別格の存在感をはなっていました。
つまり、ロボットアニメ界のブランドってわけです。
そんなブランドが実質的にガンダム、そしてイデオンに次いで世にはなったのがザブングルなんですね。

西部開拓時代に逆戻りしたような未来で、ウォーカーマシンと呼ばれるメカを使うシビリアンたちが日々強く生きてゆく姿を描いたアニメであり、コミカルなテイストを前面に押し出した作風になっていました。
富野監督と言えば、「皆殺しの富野」と異名をとる演出家であり、実際にイデオンやダンバインでは主要な登場人物がみんな死んでしまうほど殺伐とした作風で知られる人物。
しかし、ザブングルはシリアスな面もあるものの、基本はライトな感じで最終回もハッピーな大団円でした。
また、主役メカのザブングルをはじめとしたウォーカーマシンも重機の延長上にあるようなものが殆どで、一部の高性能機が人型をしていたりするという設定で、驚くべきことに自動車と同様にハンドルとペダルで操縦するという、何の冗談なんだろうかという珍設定に驚いたものです。
ハンドルとペダルだけで、どうやって複雑な合体変形や様々な火器の使用などを行えるのか?
まったくもって不思議というかテキトウですが、それも許せてしまうのがザブングルの緩い世界観だったんですね。

そんなザブングルが同じサンライズ製作の「太陽の牙ダグラム」と同時上映で劇場映画化したのが本作です。
映画一本分の尺でテレビシリーズ全ての話を追うのは当然の如く不可能ということで、人気のある名場面を集めて切り張りしたようなパッチワーク的編集の仕上がり。
なので作品の雰囲気は伝わるものの、どんなストーリーなのかは全然分からないといった、ファン向けの映画になっております。
これ一本だけを観て懐かしさに浸るだけならアリですが、どんなもんだったんだろう?と、ストーリーをしっかりと味わいたいならテレビ版をレンタルすることをオススメします。


劇場にて