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カンバセーション…盗聴…のハンスウのレビュー・感想・評価

カンバセーション…盗聴…(1973年製作の映画)
3.8
昨日観た「偽りの隣人〜」が保守派政党が対立する人物の家を盗聴する話なので、盗聴つながりっていうだけで本作を観てしまいました(笑)。内容も作品のタッチもまったく違う50年近く前のコッポラ、カンヌ受賞作品です。1年前に録画したやつをやっと再生できました。

とにかくマニアックな世界です。心理サスペンスである前にジーン・ハックマンが演じるその特殊な世界の特異な人物像の描写へのこだわりがすごいです。前半は地味すぎるくらい地味なのではっきり言っておもしろくはないんですが、延々と続くハックマンの一人芝居による人物描写を地道に気味が悪いくらい積み重ねています。

冒頭シーンから盗聴録音した音声には物騒な内容が含まれていたため余計に神経質になったしまう主人公をハックマンはこれでもかっていうくらい緊張感を持って演じている。なんと、元々はマーロン・ブランドの代役だったらしいが、ここまで観ているとジーン・ハックマンしか考えられないくらいうまく役になりきっています。

若きハリソンフォードの登場なんかがあって、後半はサスペンスが盛り上がってはくるものの、ハックマン一人芝居が長く続く。それでも引きつけられるのはヒッチコック顔負けのコッポラ演出によるものだと思います。特殊な世界を描いていて似た作品が少ないオリジナリティの高いサスペンスで見応えはありました。ただ、楽しくない(笑)「ゴットファーザー」はサスペンスがあって登場人物が魅力的で楽しいけど、本作はそれを期待するものではないと思います。
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