tacky

お茶漬の味のtackyのレビュー・感想・評価

お茶漬の味(1952年製作の映画)
4.5
犬も食わない夫婦喧嘩の話なんだけど、
お嬢様育ちのツンツン妻と、田舎者の天然オットリ夫なので、どこまで行っても平行線なのは致し方ない。

序盤にこの夫婦が寝室別室である事を、さりげなく観せる演出。しかも、2階の夫は和室で、1階の妻は洋室のところなど、お互いに気を使い合って、ワザと触れない趣向の違いや嘘など、とても上手く表現されていた。

全編、この夫婦に何か起こると、無人の居間の引きの移動ショットにつなげて、この夫婦の溝の深さを表し、特に神戸須磨まで家出?する妻の、汽車の最後部から後ろに逃げる線路と風景のショットによる、妻の苛立ちと諦めの表現は素晴らしかった。

ラスト、ツンツンからツンデレになる所、特に、前半夫の癖の味噌汁ぶっかけ飯に、異常に興奮して叱責した妻が、お茶漬けを夫婦で仲良くかけ込むのに繋げるところと、ぬかみそから漬け物を出して、「ぬかみそ臭く」なるなど、ちょっと予定調和すぎる表現もあるが、万事メデタシとなって、若い二人に引き継がれて、大団円を迎える。

なんやかんやで、心和む2時間弱だった。

最後に、パチンコ屋の看板に「甘辛人生教室」って書いてあり、なるほどと思った。
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