ナツミオ

ダンサー・イン・ザ・ダークのナツミオのレビュー・感想・評価

4.2
WOWOW on demand鑑賞

ヨーロッパから見たアメリカとは?
移民シングルマザーの悲劇を描く。

トリアー監督作品2作目。
前から気になっていた作品だが、初鑑賞。
こんな衝撃的な作品だったとは⁈

デンマークの鬼才ラース・フォン・トリアー監督が歌手ビョークと強力なタッグを結成。第53回カンヌ国際映画祭でパルムドールと女優賞に輝き、日本で予想外の大ヒットを記録したドラマ・ミュージカル。

第53回(2000)カンヌ国際映画祭
パルムドール、主演女優賞受賞。

原題 『Dancer in the Dark』

2000年デンマーク作品141分
監督・脚本 ラース・フォン・トリアー
製作 ヴィベク・ウィンドレフ
撮影 ロビー・ミューラー
音楽 ビョーク
出演 ビョーク カトリーヌ・ドヌーヴ デヴィッド・モース ピーター・ストーメア ジョエル・グレイ ウド・キアー ジャン=マルク・バール ステラン・スカルスガルド ヴラディカ・コスティック

(WOWOW番組内容より)
1960年代のアメリカの片田舎。
チェコから移民してきた女性セルマ(ビョーク)は幼い息子ジーン(コスティック)を育てながら工場で働く。遺伝性の病気で視力を失いつつある彼女は、ジーンにだけは同じ運命をたどってほしくないと、手術費用を必死でためている。ところがある日、彼女はその大事な貯金を隣人の警官ビル(モース)に盗まれてしまう。しかも奪われた現金を取り戻そうとした彼女は思いがけずビルを殺した容疑で捕まり、刑務所に入れられてしまい……。

(WOWOW解説より)
自分自身が失明の危機にありながら、愛する息子の手術費用を捻出するため、必死で働くシングルマザー。どこまでも過酷な運命にさらされる中、自分だけが夢想するミュージカルの中で自由奔放に歌い踊り、生の歓喜とエネルギーを爆発させる……。
そんな悲しくも切ないヒロインの役で、アイスランド出身である世界的人気歌手ビョークが熱演を披露。すっかり役と一体化して観客を圧倒するほどの存在感を発揮した。日本では口コミで評判が広がり、興行収入24億円という誰も予想しなかったほどの大ヒットを記録。

目の不自由なシングル・マザーがたどる悲劇を描いた異色ミュージカル。

主人公セルマ(ビョーク)の想像・夢想
シーンがミュージカル仕立となっている。

主演のビョークは、俳優としては初めて観た方だが名前は聞き覚えあり。
アジア系の血が入っているのか、親しみやすい顔立ちだが、アイスランド出身。
魅力的で歌も聴かせる〜って思ったら本業はミュージシャン♪♪♪


↓ 以下ネタバレ含む

【印象のシーンなど】
・ミュージカル・シーンが時折挟まれる。
あり得ないシチュエーションは、主人公セルマの妄想や想像を具現化したものだが、楽しそうなシーン、何故この場面で⁇のシーンもあり、違和感を感じる時も…

・ミュージカル映画が大好きなセルマが親友キャシー (ドヌーヴ)と数回映画鑑賞するところと、
素人劇団の練習でミュージカル、『サウンド・オブ・ミュージック』の一場面を演じるところも興味深く、練習シーンを含めラストにつながっていく。

・終盤、セルマが取り乱した後に、ミュージカル好きな彼女のお気に入りを歌いだし、気持ちを落ち着かせるところは胸を打つ。

意外にも名前も役名も分からない女性看守に胸打たれる…
・セルマが収監された拘置所の女性刑務官(雰囲気は、フランシス・マクドーマンド似)が印象深い。
役名、俳優さんの名前は判らないが、彼女の想いに共感出来て涙腺崩れた…

短いシーンながら、友人の面会後、彼女にも子供がいること、再審請求が通るか不安なセルマを元気つけるところ、終盤、恐怖で起き上がれないセルマをステップの音で勇気を出させ、最後の場面やその後、その場に立ち尽くむ彼女の姿。


フォン・トリアー監督作品は、先に『ヨーロッパ』を観たが、本作含めどちらも救いのないラストは共通点かも知れない。
両方とも、”なんでそうなるの⁇“
という結末は、賛否の分かれるところかも⁈

アメリカが舞台ながら、アメリカ資本では映画化されない作品だろう。

・ある意味、予想とは違う結末に、
『セブン』、『グラン・トリノ』などと同様に衝撃を受ける名作。
感動作ながら…
メンタルの良い時に観てください。

追記
主演のビョークが、後に監督からの
”Me Too”被害を告白したそう⁈
作品や出演者には罪は無い。
評価には反映していない。


【忘備録】
(出演者)
、セルマ Selma
- ビョーク

・キャシー Kathy
- カトリーヌ・ドヌーヴ

・ビル Bill
- デヴィッド・モース

・ジェフ Jeff
- ピーター・ストーメア

・オールドリッチ Oldrich Novy
- ジョエル・グレイ

・リンダ Linda
- カーラ・シーモア

・ジーン Gene
- ヴラディカ・コスティック

・ノーマン Norman
- ジャン=マルク・バール

・サミュエル Samuel
- ヴィンセント・パターソン

・ブレンダ Brenda
- シオバン・ファロン

・地方検事 District Attorney
- ジェリコ・イヴァネク

・ポーコルニー医師 Dr.Porkomy
- ウド・キア

・医師
- ステラン・スカルスガルド
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